南極条約
会議設定
議題:南極条約策定会議
議場:米国科学アカデミー、米国内務省
使用言語:日本語/日本語/日本語(公式/非公式/決議)
設定日時:1958年6月14日〜1959年10月5日及び1959年10月15日〜1959年12月1日
募集人数:24人
フロント
会議監督:
成逸朋(早稲田大学・4年・早稲田研究会・神メン)
会議監督兼議長:
紺野友里(日本薬科大学・4年・早稲田研究会・神メン)
副会議監督:
井原渉(東京大学・4年・駒場研究会・神メン)
議長:
脇谷耕基(同志社大学・3年・京都研究会・老メン)
秘書官:
真鍋はるか(上智大学・3年・日吉研究会・老メン)
大竹青輝(東京工業大学・3年・日吉研究会・老メン)
秘書官兼広報官:
國分理桜(立命館大学・2年・京都研究会・旧メン)
会議テーマ
「フロンティアを切り拓く〜Be the first penguin〜」
ペンギンは大変社会性の高い動物であると言われており、群れで行動しています。狩を行う際にもその群れで行動し、海に飛び込む際、水際ギリギリまで寄れるだけ寄ってなかなか飛び込まない、という行動が目撃されています。その理由として、最初に飛び込むペンギンほど天敵に襲われる可能性が高くなってしまうため、尻込みしているのだ、という説明がなされます。それでも、一匹のペンギンが飛び込むとそれに追従して次々と飛び込むようになります。危険を顧みず、もしくは危険を承知で飛び込む最初の一羽(ファーストペンギン)のように、自らの「フロンティア」を勇敢に切り拓いて欲しいという願いから、このようなコンセプトとしています。
また、自分をあえて厳しい立場に置くことで、自分の新たな一面を知ることにつながると考えます。今会議ではそれが一部のデリではなく、全デリがそのような立場に立って頂くことで、新たな自分とともに見つめ直す契機になってくださればと思います。
そしてこの会議で得た気づきをもとに次の代での飛躍に繋がってくだされば幸いです。
会議設計の特徴
①小人数制会議と各国のインセンティブ
今会議は同じ内容の会議を2つ同時に開催し、1会議あたり12か国、原則12人で行ってもらう予定です。また各国とも主張や国益がはっきりしており、どの国も能動的に動かなくてはならない国であるといえるでしょう。この圧倒的な小人数制とインセンティブにより誰もがプレゼンスを発揮出来きやすい環境である一方、誰もが動かなくてはならない立場に立たされることで全員が最大出力を出さざるをえない環境を作れればと考えております。
②手厚いメンター制
デリは誰もが能動的に動かなくてはならない立場に立たされるため、リサーチが自ずと重要になってきます。しかしながら、心理的な面や準備不足と言った要因により、全てのデリが毎回のメンターやフロントを上手に活用してリサーチを効果的に進めることができるとは限りません。そのため、今会議ではデリとフロントがペアのように連携を図り、各デリに合わせたサポートをしようと考えております。具体的な内容としてまず国割が決まったら、全員がメンターを行ってもらい、今後どのようにリサーチをしていくのか打ち合わせをし、その人のスケジュールなどに合わせて個別にサポートしておこうかと考えております。そうすることで、リサーチ不足のせいで会議行動ができず、会議により自分を知るチャンスを失ってしまうのを防ぎたいと考えております。
③コンセンサス設計
今回の会議の実質議論においては、コンセンサス制を採用しています。すなわち、最終的な草案の採択を行い署名するためには、会議に参加している全ての国の合意が必要となります。このような設定を行なっている理由は、史実における議論の形式を踏襲したものであるからとも言えますが、それとは別の意味も込められています。コンセンサスであるということは、少数派が相対的に力を持つ構造になります。そのため、どんなに相入れない意見であっても、相手の意見を聞かざるを得ない状況になります。だからこそ、皆さんには相手の意見をしっかりと聞き、落とし所を見つけるという作業を丁寧に行なっていただきたいです。
議題解説
南極条約策定会議は、南極における国際ガバナンスの構築を目的として、1958年6月14日から、1959年12月1日にかけて、ワシントンD.C.において開催された会議です。
南極大陸は人類にとって長らく未開の地であり、19世紀に各国が探検、捕鯨及び科学的調査を行うようになって初めて、その存在を認識し始めました。未到の地であるがために、南極に到達することのできた国は、その地に対する領有権を主張し始めました。「クレイマント」と呼ばれる国々は計7カ国あり、各国が独自の領域を指定し、領有権を請求しており、部分的に重なっている地域もありました。一方、「クレイマント」のように領有権は主張していないものの、南極に関心を持つ「ノンクレイマント」と呼ばれる5カ国も存在していました。また、南極が有する戦略的価値などの観点から、南極が紛争の火種となることや、冷戦の南極への拡大が危惧されていました。
そのため、幾度となく南極を国際管理しようという声は上がったものの、いずれも実現には至りませんでした。転機となったのは、1957年から1958年にかけて実施されたIGY(国際地球観測年)です。これは世界各国共同で地球の大規模観測を行うもので、南極もその対象とされました。そして、このプログラムが終了するに当たって、これに変わる国際レジームの必要性が認識されました。そしてアメリカ政府が、南極に直接的関心を持つ、「クレイマント」であるイギリス、フランス、ノルウェー、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、アルゼンチン、「ノンクレイマント」である日本、ソ連、南アフリカ、ベルギーの計11カ国を招待することで、今回の会議は始まりました。
論点解説
以下の2つの大論点を設定しており、この中の小論点に対してはデリから出してもらうことを想定しています。
【大論点1】南極条約の領有権と南極地域の適用範囲
この大論点においては、史実における第4条、第6条を射程に入れた議論を行っていただきます。この一連の条項は南極大陸における、「領有権」、「南極地域の適応範囲」を判定したものだと言われております。
史実での議論においては、南極大陸の一部に領有権を主張している側(クレイマント)と、領有権を主張しないかわりに他国の領有権の主張も否認している側で対立しており、現在でも領有権のあり方は定まっておりません。
また南極地域の適応範囲は、南極大陸のみならずその周辺部分の海洋が絡んでおり、今会議では海洋法も踏まえて議論していただきたいと考えております。
【大論点2】南極の平和的利用
この大論点においては、史実における第1条、第5条、第7条を射程に入れた議論を行っていただきます。この一連の条項は南極における、「非軍事化」、「非核化」、「査察」を規定したものだと言われ、南極が平和的目的にのみ利用されることを実現した部分です。
史実の議論においては、「平和的目的」が何を指し示すのかという定義の問題、軍の要員と装備の使用の可否、原子力の利用をどこまで制限するかや、査察員の国籍をどうするのか、査察の対象、範囲及びその頻度をめぐって意見が対立し議論が進行して行きました。「平和的利用」を達成するために、どのような体制がふさわしいか、理想と現実に挟まれながら、皆様には議論していただきます。
国割
Argentina
Australia
Belgium
Chile
France
Japan
New Zealand
Norway
Union of South Africa
USSR
United Kingdom
United States
参加者の方へのメッセージ
【成】
みなさんこんにちは、会議監督を務める成逸朋です。
唐突な物言いですが、模擬国連は「難しい」と思います。なぜならば、会議本番までの準備期間で、議題の背景を知り、自国のスタンスを形成し、相手国のことを理解して戦略を考え、当日には担当国の大使として振る舞う必要があるからです。時に先人たちが何十年と積み重ねてきたものを数ヶ月で理解し、発揮しなければならなくなります。
ですが、だからこそ面白い。議論や交渉が五里霧中の状態であっても、相手の意見を聞き、自分の意見を伝え、複雑な議論を構造化し、すり合わせていく思考力。「当事者意識」を持った歴史の追体験。この2つができるのは模擬国連以外にはないでしょう。間違いなく、それは難易度が高い行為ですが、まさしく自分自身の「フロンティア」を覗き見るという経験に他なりません。みなさんには、ぜひこの「面白さ」を経験していただきたいのです。
そして願わくば、それをこの南極条約において経験していただきたいと思っております。南極条約は、南極という広大な領域の現状維持を定め、「非軍事化」及び「非核化」を成し遂げ、米ソ2超大国を同一の査察体制に組み込んだ、史上初の条約です。まさしく「フロンティア」だと言えるでしょう。当然、このような帰結に至るまでは、さまざまな紆余曲折があったわけです。みなさんにも一国の大使として、策定過程を「追体験」して欲しいし、会議の中で自分に何ができるのかを「思考」していただきたいです。そのために、我々フロントはみなさんの支援を惜しみません。ぜひ南極条約という「フロンティア」でお会いしましょう。
【紺野】
みなさまこんにちは会議監督兼議長の紺野友里です。
模擬国連を続けて早4年、気づけば模擬国連と大学の勉強しかしていなかったと思います。理系ということもあり当時知らなかった分野や考え方、何より交渉して相手とどのように合意形成を測っていくのか考えたり、相手をどのように倒すのか考える醍醐味が常に模擬国連にはありました。模擬国連に飽きることのない楽しさがあったから長年いろんな人に愛されてきたのかなと思ったりもします。
今会議を作ることにいたっては自分にとって「こんな会議があったらなあ」をすべて詰め込んだ会議です。自分が4年間細々と続けてきたなかで、なんとなく感じていたのは「もったいないなあ」と思う子がいたことです。模擬国連にどれだけコミットするかは人それぞれ異なると思うのですがなかなかデリとして成長したい、変わりたいと思ってもそのきっかけがなく模擬国連を去った子を見てきました。模擬国連が面白くない!そこまで時間を割くものではないと思っているならともかく成長したいし、ある程度面白いと感じているのに何か向いていないような気がする。そんな子がもし厳しい立場に立たされた場合、もしかしたらそんな状態がその子にとって一皮むける良いきっかけになるのかもしれないと思い始めました。現状デリとして自信をなくしていて来年模擬国連を続けていくかわからない方にぜひとも今会議に参加して欲しいです。私にとって信頼できるフロントがペアのようにサポートしますから模擬国連と一旦全力で向き合ってみて欲しいと思います。また熱のある交渉が待っている南極条約に惹かれている方もぜひ参加して頂ければ幸いです。
私たちフロントが全力でサポートするこんな会議でBE THE FIRST PENGUIN!!