武力紛争における民間軍事・警備会社の活動に関する国家のための適切な国際義務とグッドプラクティスに関する

モントルー文書 

会議設定

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議題:武力紛争における民間軍事・警備会社の活動に関する国家のための適切な国際義務とグッドプラクティスに関するモントルー文書
(Montreux Document on Pertinent International Obligation and Good Practices for States related to Operation of Private Military and Security Companies during Armed Conflict) 


議場: 第3回民間軍事・警備会社に関する政府及びその他専門家会合
(Third Meeting of Governmental and Other Experts on Private Military and Security Companies) 


使用言語: 日本語/日本語/日本語(一部英語併記可)(公式/非公式/成果文書) 


設定日時: 2008年4月14日~16日 


募集人数: 19名 

フロント

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会議監督:
鈴木日向子( 津田塾大学学芸学部4年・国立研究会・神メン )

議長:
和中 文(同志社大学法学部4年・京都研究会・神メン)

毒島 俊樹(東京外国語大学国際社会学部3年・国立研究会・老メン)


秘書官:
向後 大翔(国際基督教大学教養学部4年・国立研究会・神メン)


報道官:
杉山 あみ(上智大学法学部4年・四ツ谷研究会・神メン)

会議テーマ

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「Details Matter」 

 
会議コンセプトはスティーブ・ジョブズの「Details matter, it’s worth waiting to get it right. (細部にこだわる、それは時間をかけてもこだわる価値のあるものだ。)」という言葉に由来しています。模擬国連における「細部にこだわる」こととは、リサーチにおいて思考を積み重ねること、ロジックや戦略の考察を繰り返すことであると私たちフロントは理解しています。そして、準備段階で細部にこだわることによって本番の会議で大使として国益にかなう振る舞いができると考えています。 

 
私たちが考える模擬国連の魅力の1つは国際問題を様々な視点から捉えられることです。模擬国連は活動の性質上、会議で求められるのは参加者個人の意見ではなく、担当国が持ちうるであろう意見です。準備段階では、議題や情勢といった何が起こっているのかということを把握した上で、担当国の歴史や政治体制、当時の外交方針などを調べ、議題に対してどのようなスタンスをとるのか考える必要があります。この過程において個人としての目線で国際問題をみるだけでなく、担当国の外交官として、時に考え方が大きく異なる国の視点を持つことで様々な角度から国際問題を捉える力が養われると思っています。新聞やニュースを自分で読むことによって国際問題や国際社会の理解を深めること自体は可能ではありますが、模擬国連という活動、その中に含まれる過程を経て模擬国連という枠組みを離れた時にも様々な角度から過度に理想的・悲観的になることなく現実的に国際問題を捉えることができるようになるのではないでしょうか。 


しかしながら、現状、会議に向き合い、複数の視点から議題を深く捉えることのできる人はどれほどいるのでしょうか。なんとなくリサーチをして、経験に任せて会議行動をする、いわゆる会議を「こなす」人がみられるように思います。1つの会議にどれほどコミットするかは人によって異なりますが、議題に向き合うことをおろそかにしてしまえば、会議で発揮できるパフォーマンスの低下につながるだけでなく、物事を複数の視点から捉える力という模擬国連の枠組みの外でも発揮できる能力を得る機会を逃してしまうのではないでしょうか。 


当会議では、参加者の皆様に準備段階で議題に徹底的に向き合ってもらい、国益やロジック、戦略を考え抜き、その準備を大会当日の議論でぶつけてもらいたいと思っています。「細部(Detail)」にこだわってリサーチすることにより、大使としての成長のみならず、世の中で「問題」であると言われるものを複数の立場を理解した上で自分で考える力を養うことができると思っています。また、リサーチやロジックの作り方がよく分からないといった方々にも、フロントとともに自らのやり方を見つける機会を提供できればと思っています。 

会議設計の特徴

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  • 「議題理解」に特化したタスクとメンター

当会議ではタスクを2回に分けて配布します。最初に配布するタスクは議題理解のみの内容のタスクで自国理解などは求めません。また議題理解のみを扱うメンターも行います。会議に臨むに当たっては​​、民間軍事・警備会社(PMSCs)そのものの理解が会議の前提になります。そのためこの過程において普段聞き慣れないPMSCsに対する理解を深めていただきます。もちろん議題理解のタスクとメンターを行なった後には自国理解や国益設定などを考えていただくタスクを配布し、メンターも行います。

 

  • 国益の見える化

2回目に配布するタスクでは国益設定を行うと同時に設定した国益にかなった文言を書いていただきます。どのような文言、言い回しであれば設定した国益にかなっていると言えるのかを全員に事前に考えてもらいます。基本的には史実の文書を参考にして文言を作成していただくことになると思いますが、もちろんフロントも文言の確認、作成のサポートは最大限行なっていきます。

 

  • インフォーマル/モデが中心

会議当日はインフォーマル/モデが相当部分を占めます。すべてのデリが腰を据えて議論するため、自分の知らないところで何かが進行することがほとんどありません。議長の進行の下、デリの準備が活かされるような形でコツコツと議論および合意を積み重ねていきます。

議題解説

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当会議で扱うモントルー文書とは、民間軍事・警備会社(PMSCs:Private Military and Security Companies)の規制に関する初めての国際的な文書です。PMSCsとは、軍事に関わるサービスを扱う企業でそのサービスには戦闘や兵站、訓練、軍事に関わるコンサルタントや警備などが含まれます。

PMSCsは冷戦後(1990年代)、各国の軍備縮小と地域紛争の増加で需要と供給双方の全体数が増加しました。現在では戦闘に直接参加しない任務(非戦闘任務・サービス)がPMSCsの提供するサービスのほとんどを占めていますが、過去にはPMSCsが戦闘任務を行う要員を現地に派遣したことで内戦の形勢が大きく変わった例も存在します。

PMSCsは国の軍隊に対してもサービスを提供していますが、当会議開催時(2008年)には彼らに対する規制が特にありませんでした。あくまで民間企業であるPMSCsの要員は武器を持っていても国の軍隊ではないため軍の指揮下になく、軍法に拘束されることもありません。したがって、任務中に要員が現地で過失を犯したとしても要員個人・会社双方に責任が追及されることはありませんでした。また、要員が戦闘任務に従事している場合、彼らは軍隊の構成員でも、傭兵でもないことから国際人道法上いかなる地位にあり、どのような権利・義務を有するのかが不明瞭な状態でした。

こうしたPMSCsの問題点を受け、スイス政府と赤十字国際委員会(ICRC:International Committee of the Red Cross)のイニシアティブの下、モントルー文書策定のための議論が始まりました。今回模擬する第3回会合に参加する非国家団体はICRCのみですが、それ以前の会合では国家だけでなく多くのNGOが参加し文書の土台を作りました。

第3回会合の参加国は18ヶ国と少ないですが、そのほとんどがPMSCsと関係の深い国々ばかりです。しかしながら、PMSCsと自国がどのように関わっているのかには違いがみられます。PMSCsに業務委託をする国、過去にPMSCsが自国で活動した国など、立場の違う国々がPMSCsをいかに規制するかを議論するのが今回模擬する第3回会合となります。

論点解説

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当会議の論点は以下の通りです。なお、この論点はフロントから提示するもので、デリからの募集は行いません。

 

【大論点1】依頼国(PMSCsに業務委託をする国)、活動国(PMSCsが活動する国)、拠点所在国(PMSCsの国籍国)の国際法遵守義務について

小論点1:依頼国は契約するPMSCsとの関係で国際法の遵守義務を負うか

小論点2:活動国は自国で活動するPMSCsとの関係で国際法の遵守義務を負うか

小論点3:拠点所在国は自国籍を有するPMSCsとの関係で国際法の遵守義務を負うか

 

この論点では、その名の通り、武力紛争においてPMSCsとの関係でそれぞれの国家が国際法を遵守する義務の有無について議論していただきます。主要な争点は、特に各カテゴリーの国が国際人道法、国際人権法をどの程度遵守することになるのかとなります。

 

【大論点2】契約したPMSCsによって依頼国に国家責任が発生する場合について

 

この論点では「PMSCsの違法行為」によって「依頼国に国家責任が発生する場合」はいかなる時かについて議論してもらいます。

この論点の争点は「帰属要件」についてです。原則として民間企業による行為によって国家責任が発生することはありませんが、国家と企業の関係によっては国家の行為になる場合があります。また、開催時(2008年)は既に、企業による人権の遵守を求める声が国際的に大きくなってきた時期であり、企業への規制をどこまで国際法が行うのかも争点となります。

 

【大論点3】PMSCsとその要員の地位について

小論点1:PMSCsの地位

小論点2:PMSCs要員の国内法上の地位

小論点3:PMSCs要員の国際人道法上の地位

 

この論点では、PMSCsおよびその要員が国内法および国際法、とりわけ国際人道法上どのような地位を有するのかについて扱います。この内、PMSCs要員の国際人道法上の地位(小論点3)が要となります。正規の軍隊でなく、また傭兵でもないPMSCsの要員を武力紛争下において国際人道法上どの地位に位置付けるのかが問題になっていますが、PMSCsと一言で言ってもその業務は多岐にわたり、性質は異なります。こうした背景を踏まえた上で「PMSCsの要員」として一括りに地位を決めるのか、業務の性質を踏まえた上で地位を決定していくのかが争点となります。

国割

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Afghanistan
Angola
Australia
Austria
Canada
China
France
Germany
Iraq
Poland
Russian Federation
Sierra Leone
South Africa
Sweden
Switzerland
Ukraine
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
United States of America
International Committee of the Red Cross (Observer) 

※すべてシングルデリでの募集

参加者の方へのメッセージ

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皆様こんにちは。会議監督の鈴木日向子です。まずは当ページをここまで読んでくださり、誠にありがとうございます。ここまでの説明で議題とコンセプトに込めた想いを少しでも理解していただければ幸いです。


HPをご覧になっている皆様は全日本大会に興味がある、または全日本大会には参加するがどの会議に出ようか迷っているという方だと思います。そのような方々には是非、アプライ前に全日本大会を通じてご自身が何をしたいのか、その目的を考えていただきたいです。模擬国連は多くの時間を費やす活動であり、参加費も発生します。そのようなご自身の限りある時間やお金を使って何をしたいのかをじっくり考えた上で会議を選んでいただきたいと思います。皆様の目的達成の手段が当会議に出ることであれば非常に嬉しいですし、フロント一同皆様を精一杯サポートして参ります。


コンセプト紹介の部分で私の模擬国連に対する想いや考え方などは述べましたので、ここでのメッセージはそろそろ締めさせていただきます。研究会広報や座談会で皆様とお話できることを楽しみにしています。ご質問・ご相談などございましたら、研究会広報や座談会の機会を通じて、または当会議のTwitterアカウント(@PMSCs_AJMUN33)のDMをご利用ください。皆様のアプライ、心よりお待ち申し上げます。